25周年を迎える丸善津田沼店! オリジナルキャラクター「だぬまるくん」も誕生

津田沼に引っ越してきたばかりの頃、「この街には丸善があるんだ!」とうれしく思ったことを覚えています。生活圏のなかに、頼りになる本屋さんがあること。それはささやかだけれど、たしかな幸せの一つだと思うのです。

さて、この春、そんな我らが丸善 津田沼店に「だぬまるくん」というオリジナルキャラクターが登場しました。しかも、なんとテーマソングまで用意されている……! これは放ってはおけないぞ、ということでお話しを伺いました。

イラストもテーマソングも、すべてが手作り

「最初は、オススメ本を紹介する冊子をつくろうという話だったんです」と明かすのは、店長の岩﨑さん。丸善では店舗ごとに有志で冊子をつくることは珍しくないと言います。

「津田沼店でもつくっていた時期があったのですが、ここ数年はそれが途絶えてしまっていて。スタッフから『またやりませんか?』という声があがったんです」

そこで去年末から新たに発行することになったのが『つだまる便り』というフリーペーパーでした。

「編集作業を進めているうちに、誰ともなく『せっかくだから、オリジナルキャラクターでもつくらない?』という話になって。『名前は“だぬまる”とかどう?』『それならタヌキっぽい感じ?』といった感じで方向性が決まっていきました」

そこからはスタッフさんたちがそれぞれの得意分野を生かし、だぬまるくんを形にしていったそうです。

「イラストは絵が得意なスタッフが描いてくれました。それなら私はテーマソングをつくりますよ、という人もでてきて。フェルトマスコットをつくってくれた人もいいました。そこはもうスタッフのみんなにお任せした感じですね」

https://twitter.com/maruzen_tsudanm/status/1638058700886913025

これからの津田沼には、どんな本屋が必要だろう?

通常の業務のかたわら、冊子をつくるだけではなく、オリジナルキャラクターまで生み出してしまう。そのモチベーションの源には、津田沼駅周辺の環境が移り変わってゆくなかで、「どうやってお客様との接点をつくっていくか」という問題意識があったと言います。

「今年の2月にPARCOさんが閉店したことは、私たちにとってもショックな出来事でした。駅の反対側とはいえ、大きなランドマークがなくなってしまった。今まであちら(北口側)に流れていたお客さんを、こちら(南口側)に呼び込むチャンスでもあるのですが、やはり変化に対する戸惑いというか、『このあたりの人の流れはどうなっちゃうんだろう』という不安が大きかったですね」

それに追い打ちをかけるように4月1日には、習志野文化ホールが長期休館に入りました。

「文化ホールで観劇したあと、ついでに丸善にも立ち寄ってくださる、という方は意外と多かったんです。PARCOにしてもそうですが、地域外の人が津田沼にやってくる理由になっていた場所が、今どんどん街から姿を消していますよね。そんな中で私たちはどうすればいいのか。まずはやっぱり地元の人に愛されるお店になることだと思うんです。だぬまるくんや『つだまる便り』も、そのためのフックの一つになればと考えています」

「だぬまるくんフェア」をはじめ、ユニークなフェアが開催中!

本の楽しさを、もっと多くの人に知ってほしいという思いから、さまざまなフェアも精力的に展開しています。たとえば正面入り口すぐそばの2Fエスカーエータホールでは、だぬまるくんの誕生にあわせた特別フェアが開催中です。

「スタッフが選んだオススメ本に、だぬまるくんのイラストが描かれた帯を巻き、手作りのしおりとあわせて販売しています。想像していたよりも多くの方がフェア棚の前で立ち止まってくれているのが嬉しいですね」

そのほかに開催中のフェアについても、お話しを伺いました。

「ちょっとユニークなところでいうと『中央公論新社入手困難本フェア』でしょうか。普段は店頭になかなか並ばない僅少(出版社在庫残りわずか)タイトルを集めています。堅めで歯ごたえのある内容ものが多いですが、今後は手に入りづらくなるタイトルもあると思うので、この機会にぜひお買い求めいただければ幸いです」

幻想文学や海外文学を中心に、歴史・仏教などの学術書、美術・映画などの芸術書などの分野で個性的なタイトルを出版してきた国書刊行会の創業50周年記念フェアも好評を博しているそうです。

「本来は3月末までの予定だったのですが、非常に反響が大きく、現在も期間を延長してフェアを開催中しています。特に無料配布している小冊子『私が選ぶ国書刊行会の3冊』を目当てにされている方がたくさんいらしゃったようです」

ちょっと丸善にも寄っていこう。そんなお店であり続けたい

そんな丸善津田沼店さん、なんと今年の10月で25周年を迎えるとのこと! それを記念してhontoポイントがもらえる「25周年感謝祭」も開催中です。さらにアニバーサリーイヤーとして、一年間を通じてさまざまなを構想中だと岩﨑さん。

「丸善というブランドを信頼し、長年足を運んでくださっているお客様には感謝しかありません。その一方で、時代ともに変わっていかなければならない部分もあります。これからは地元を中心に、お客様ともっと積極的にコミュニケーションをとりながら、居心地のいいお店づくりを進めていきたいですね。駅まで来たからちょっと丸善にも寄って行こう。みなさんにとって、そんな本屋であり続けたいと思っています」

PARCOはなくなってしまったけど、津田沼にはまだ丸善がある。個人的にそれはすごく誇らしいことです。Amazonはすごく便利だけど、やっぱり紙の本は街の本屋さんで買おう。改めてそう思った取材でした。

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